岐阜県関市の包丁

岐阜県の関市は「世界三大刃物産地」のひとつに数えられ、刃物づくりの街として知られています。
ドイツのゾーリンゲン(Solingen)、イギリスのシェフィールド(Sheffield)とならび「3S」と呼ばれる、世界的に有名な都市です。

関市の刃物づくりの起源をたどると、鎌倉時代に端を発します。
良質な焼刃土、炭、そして長良川をはじめとする豊富な水資源にめぐまれています。古くから刀剣
づくりに最適な土地として、全盛期には300人近くの刀鍛冶が集まりました。

 

800年以上の刀剣づくりの歴史を持つこの街は、時代がいつしか日用的な刃物づくりに変わっても、その高い技術は脈々と継承され続けてきました。

世界中で愛される関市の刃物は、数々の細かな作業を経て完成します。プレス、焼入れ、研磨、背研ぎ、刃付けなど、すべての工程を含めると20以上におよびます。

まずこちらの工程は刃物の魂ともいえる「焼入れ」です。

関市の刃物づくりは分業制で、各工場の職人さんがそれぞれの工程を担当しています。

こちらの工場では焼入れ、空冷、硬度検査、歪み取りの作業が行われています。担当されているのは、数十年この工程だけに従事されているベテランの職人さんです。

焼入れは約1,200℃の温度で行います。刃物の大きさや厚みによって熱する時間を微調整しているのですが、それらはすべて職人さんの長年の経験によって焼入れの時間を決めています。

慣用句の「焼きが回る」とはこの焼入れが語源です。つまり温度が足りないことはもちろん、火が回りすぎても刃物強度が落ちてしまう、とても難しく重要な工程です。

こちらは硬度検査の様子。焼入れ前と後で硬度は大きく変わります。
何本かに一本、抜き取りで検査を行いますが、数値上で検査をしてもブレはほとんどありません。

そして焼入れのあとは研磨、背研ぎの工程へと移ります。刃物は焼入れだけではまだほとんど切れる状態ではなく、研磨によって切れ味の鋭い刃物に生まれ変わります。

この研磨の工程によって、刃物の切れ味は大きく左右されます。非常にデリケートな作業のため、職人さんが一本ずつ手作業で丁寧に研いでいきます。

さらに全体の品質を安定させるべく、切れ味検査の工程があります。専用の機械で刃物を一往復させて、何枚紙が切れるかを調べます。

紙を30枚ほど切ることができれば、切れ味としては問題ないそうですが、Standard Productsの包丁はなんと倍以上の「70枚」ほど切ることができました。

実際に体験してみると、包丁自体は軽いにも関わらず、あまりの切れ味の鋭さに驚きを覚えます。

そして口金の加工や刃付け、仕上げ、検品などの工程を経て製品が完成となります。

特に最後の検品作業では、素人目にはわからないほどの小さな汚れや傷も見つけ出されていきます。安定した品質を保つために最後の一工程まで、とても細やかで丁寧な作業が行われます。

こうしてたくさんの職人さんや現場のみなさまによってつくられる関市の包丁。ぜひ実際に手に取って、使い心地を試していただけますと幸いです。

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