高精細な印刷表現でつくる日本の草花柄のハンカチ
兵庫県にある播州地域のひとつ、多可町。酒米として有名な山田錦の発祥の地でとして知られ、名水に囲まれた自然豊かな地域です。
古くから綿を使った細番手の織物や、手漉き和紙づくりが盛んにおこなわれてきました。
こちらは昭和からつづく縫製工場のソーイング竹内さんです。
社員数はおよそ30名の規模ながら、製品の品質の高さから国内だけでなく世界中のさまざまなブランドから製品づくりを依頼されています。
この秘密基地のような外観は、縫製という業界自体をもっと若い人にポジティブに捉えてもらおうと「工場らしくない工場」を目指して設計されたそうです。
内装も従業員のみなさんが働きやすいよう、さまざまな工夫が施された清潔な空間が広がります。SDGsへの積極的な取り組みや製品の品質の高さから、全国各地からたくさんの賞を受賞されています。
私たちはソーイング竹内さんと協業し、オリジナルのハンカチを制作することになりました。
こちらのハンカチの特筆すべきポイントのは、なんといっても高精細なプリント技術です。複雑かつ鮮やかな図柄のプリントのため、生地に再現するにはかなりの技術力が必要とされます。
たとえばもともとの図柄のままプリントをしてしまうと、生地にインクが染みこむ関係で細い線がつぶれてしまうため、仕上がりを予想しながら細かな調整をおこなっていただきました。最終的に刷り上がった図柄の繊細さはなんとも見事な仕上がりです。
こうしてプリントを終えた生地は、断裁の工程に移ります。
まずは縦の断裁加工。何柄も面付けされた大きな生地を、柄のプリントに合わせて機械で断裁していきます。
次は横の断裁加工。縦の断裁よりも繊細な作業が必要なため、なんとすべて手作業でカットされていきます。次の工程を見越してほんの少し生地を余らせつつ、まっすぐに断裁する必要があるため慎重な作業が求められます。
切れ味を安定させるため、定期的に研ぎ師さんにハサミの研磨を依頼する必要があり、手に大きなタコができるほど地道で大変な作業です。ズレることなく柄に沿ってスピーディーに切られていく光景は圧巻の一言です。
こうしてハンカチ1枚分にカットされた生地の四辺を縫製していきます。
この作業も一見なんでもないように見えるかもしれませんが、これこそが縫製技術の真骨頂です。
端の非常に細い縫製部分が1回だけでなく、3回も内側に折りたたんでまっすぐ縫製する「三巻」という高等技術で織られているのです。
三巻を習得するためには長い経験が必要とのことで、この工程を担当できるのは工場でも限られた職人さんだけのようです。
そして縫製されたものが検品、折りたたみ、パッケージングなどの工程を経て出荷となります。
できあがった「播州ハンカチ」は全4種類、すべて税込み550円です。
・雛芥子(ひなげし)
・君影草(きみかげそう)
・金木犀(きんもくせい)
・山野草(さんやそう)
いずれの柄も細かなプリント再現で、発色のいいハンカチとなりました。
ソーイング竹内さんは製品のクオリティの高さはもちろん、「作業効率と品質管理の徹底」という特徴があげられます。
あらゆる無駄を省いた作業効率を徹底することにより、競合他社と比較しても大量生産が可能かつ無理なくコストを抑えることができます。
今回の製品づくりにおいても印刷や工程、生地感などあらゆる仕様を最適化していただくことにより、百貨店さんや大手のブランドに卸されている製品と遜色のないクオリティのハンカチをつくりあげていただけました。
播州ハンカチの発色と風合いを、ぜひ店頭でお手にとってご覧いただけたら幸いです。