Skip to content
職人たちの声から生まれた軍手・軍足

職人たちの声から生まれた軍手・軍足

こちらは和歌山県の有田市。有田みかんの生産地として有名な地域ですが、蚊取り線香の発祥の地であり、手袋づくりが地場産業としても知られています。
海が近いため太刀魚などをはじめとした漁業もさかんで、山と海に囲まれた自然豊かで温暖な地域です。

今回の軍手と軍足の製造を担当してくださったのは、日出手袋工業さん。その社名のとおり、手袋と靴下の専門工場です。
和歌山の手袋づくりの歴史は古く、そのルーツとなる木綿づくりは1781年頃からはじまったといわれています。

このあたりの地域で手袋づくりがはじまったのは明治末期ごろ。農業の閑散期における副業として手袋づくりが広まっていき、やがて戦時中の軍需産業として作業用手袋の市場が急拡大していきます。

手袋と軍手の違いは厳密にはなく、軍用手袋の略称として「軍手」という名前が残りました。軍手の靴下版「軍足」も同様です。
木綿でつくられた丈夫な作業用の手袋は、いつしか軍手という名称とともに全国へ広がっていきました。

日出手袋工業さんが会社を設立し、本格的に手袋の製造を開始したのは1918年。創業100年を超える老舗工場です。
最初は、手動の手袋編み機を使用しての製造から始まりました。そして高度経済成長期の日本で、まだ導入の前例がなかった全自動編み機を導入したり、市場でなじみのない五本指ソックスの発売を開始したりと挑戦的な歴史が続きました。

しかし、手袋はバブル崩壊後に安価な海外製品におされ、国内流通のおよそ7割を輸入品に取って代わられます。同じ業種の工場が次々と廃業していくこととなり、同社もご多分に洩れず、国内製品の需要激減による大打撃を受けることとなります。問屋からも、これまで卸していた価格の半値以下でないと買い取れない、と通告を受けてしまう状況にまで追い込まれてしまいます。

しかし日出手袋工業さんは価格競争とは別の道を歩み、安価な海外製品とは違う高品質な日本製品をつくり続けることを決意します。
軍手をつかう職人さんから改善点を綿密に調査し、何度もマイナーチェンジをくり返しながら卸先に最適化された製品づくりを徹底しました。

大口小口の注文を問わず、料理教室で使用するミトンや、学校の文化祭で着用する手袋づくりなど、これまで取り扱いのなかったあらゆる業種の注文を請け負います。
メーカーや企業向けの製造だけでなく、BtoCへも間口を広げ、自社ECサイトを立ち上げました。商品の改良をくり返し、いつしかあらゆる顧客の要望に応えられる「セミオーダーメイドのスペシャリスト」の工場となっていきました。

いまもなお現場の声を聞きながら、海外製品との差別化を図った高品質な商品づくりを続けています。

今回Standard Productsで販売する商品は業務用と日常用の軍手、そして軍足の3種類です。

まずこちらは業務用の軍手。日出手袋工業さんが製造する商品の中でも、最高強度をもつ作業用手袋です。細い純綿糸を10本以上束ねることで強度と密度を両立し、鉄工や塗装、建築現場などハードな現場で使用されています。
創業当初から製造されているロングセラーで、いまでも数多くの職人に愛されている商品です。
通常はBtoBでしか販売されないスペックの商品ですが、今回は特別に別注で製造いただけました。

この商品のこだわりポイントはなんといっても手首部分。ゴム糸不使用の手首を締め付けない快適な着け心地はもちろん、あまりのスムーズな着脱に驚かされます。もともとは作業時の機械による巻き込みなどの危険な場面で、すばやく脱げるようにする目的でもある機能ですが、長時間の使用シーンでの負担軽減にもつながります。

また、その手首部分の縫い付けは機械ではなく、一本一本手作業で縫い合わせられています。
こちらはその手作業での縫い付け作業の様子です。この工程を担当できる人は限られていて、経験を積んだ職人にしかできないデリケートな作業です。実際にその製造現場を拝見すると、正確でありながらスピーディな縫製作業はまさに職人技と呼べる作業風景でした。

こちらは日常用の軍手です。数十年前の全自動編み機がいまも現役で使用されています。この軍手のポイントは、業務用の軍手より日常シーンに特化した糸の太さや形状、編み方が重視されているという点です。

先述した料理教室などの日用シーンに特化した軍手も、実際に使用したお客さまのさまざまな声を反映することで最適化された形状が生まれました。

指先から手首までシームレス(縫い目なし)で編み上げているので、指先のごろつきがなく、なめらかなフィット感が心地よい手袋です。手首の差し口はオーバーロックミシンで2回止めしているため、ほつれが少なく長持ちします。

そして純綿素材でできているため、とても着け心地がよいやわらかな肌触りに仕上がるのもポイントのひとつです。

同じシリーズの軍足は「五本指タイプ」と「先丸タイプ」の2種類です。軍手と同じく純綿の素材は履き心地がよく、吸放湿性にもすぐれています。

みなさんは五本指ソックスを使用したことはあるでしょうか。通常の丸型との一番の違いは、やはりムレの少なさという点です。かかと付きで余裕があるのはもちろん、指同士が干渉し合わないこの形状は想像以上に通気性が高く、日常的なウォーキングだけでなくスポーツシーンなどでも多くの方に愛用されています。

五本指という形状から「なんとなく履きにくそう」というイメージをお持ちの方にもぜひお試しいただきたい商品です。

こうして、100年以上続く工場のノウハウがたくさん詰まった軍手・軍足が生まれるにいたりました。

長い年月、職人さんやお客さんと二人三脚で改良を続けてきた商品は、日本製ならではの細かな気配りが行き届いた高品質なものばかりです。
一度実際に身につけていただくことで、その品質にご満足いただけるかと思います。ぜひ店頭でお試しいただけたら幸いです。

LATEST STORY

マナソープの生みの親がつくるスキンケアシリーズ

マナソープの生みの親がつくるスキンケアシリーズ

累計230万個以上の売り上げを誇るピーリング用石けん「マナソープ」を手がけた、美容研究のスペシャリスト進製作所。こだわりのスキンケア商品をご紹介いたします。

Read more
「日本で一番大切にしたい会社」がつくるお絵かき道具

「日本で一番大切にしたい会社」がつくるお絵かき道具

神奈川県川崎市にある日本理化学工業さん。全スタッフのおよそ7割が知的障がいをもちながら働いています。奇跡の工場がつくる不思議なお絵かき道具のご紹介をいたします。

Read more
昔ながらの釜焚き製法でつくる洗濯洗剤

昔ながらの釜焚き製法でつくる洗濯洗剤

純石けんを配合した洗濯洗剤とナチュラルな仕上げの柔軟剤です。洗いやすさはもちろん環境配慮や価格帯など、あらゆる面でバランスのとれた商品づくりを目指しました。

Read more